ジャズとの不思議な出逢い・・・

2000.04.28

う~ん・・・やはり一ヶ月ぶり、なかなか良い?ペースですね。

(題は「気まぐれ月記」に直そうかな・・・)まぁ気にせず行きましょう!?

今日は、久しぶりに音楽を聴きに行ってきました。

C.A-1 「綾戸智絵」さんという、ジャズボーカルの方のコンサートです。

実は、私はジャズのことは全然解りません。でも今回のコンサートは

主催でもある、ジャズの世界では大御所・・・「児山紀芳」さんから

ご紹介を受け、興味を持ちました。

児山さんは、NHK-FMジャズクラブのDJを始め、数多くのイベントを主催し

その世界では、知らない人がいないほど有名な方なんです。

我孫子市の隣、柏市に在住してらっしゃって、ありがたいことに

当店の珈琲をご贔屓いただいております。この方との出逢いが、ちょっと面白い!

話は、私がまだ柏市で、喫茶店と豆売りを合わせた店を経営していた頃から始まりますが

年の頃なら70前後でしょうか・・・お客様に、少しアメリカかぶれ?と言うか、ハイカラな

感じのおじいちゃんがおりました。(お名前は、阿部さんと言う方です)

ジーパンをはいて野球帽をかぶって、米軍基地に居そう・・・な雰囲気です。

とっても元気でらして、いつも自転車に乗って珈琲を飲みに来て下さっていました。

かなりの常連さんになった頃、おじいちゃんが段ボールを抱えて階段を上がってきました。

(その当時、店はビルの二階にあったのです) 「あれっ、どうしたんですか・・・」

私が聞くと、何だかとっても嬉しそうに言いました・・・。

「今日は、マスターにプレゼントを持ってきたんだ。」なんだろうと思いながら、差し出された

段ボールを開けてみてビックリ、カセットテープが300本位はあったでしょうか・・・

内容は、児山さんがDJを務める「ジャズクラブ」を録音したものでした。

唖然としている私に、おじいちゃんは言いました・・・。

「俺は、この番組、特に児山さんのファンでね、毎回吹き込んで置いたんだよ。もう俺は

老い先長くはないから、マスターにプレゼントしようと思ってさ・・・。」

「へぇー、そんな番組があるんですか!?ジャズのことは解らないけれど、聞いてみます。」

「この児山さんて言う人はさ、柏に住んでるんだよ。今度、ファンレターでもさ、書いてみよう

かと思ってるんだけどね。」 「そうですね、このお店にも遊びに来て下さると良いですね。」

確か、そんな会話を交わしたように覚えています。

その後、当店は我孫子に移転する事になりましたが、勿論テープも持って引っ越しました。

さすがに我孫子では遠いらしく、また喫茶もなくなってしまった為、今までのように頻繁と言う

程ではないのですが、それでも2~3カ月に一度は、遊びに来てくださっていました。

「もうおれも長くはないからさ・・・。」が口癖の方で、「2~3カ月ぐらい見かけなかったら

死んじまったと思ってくれよな。」といつも冗談?を言っていました。

そんなある日、一人のお客様が名刺を出されて言いました。「こんな名前で、ブレンドを

造ってもらえないかな?仲間内に配りたいんだけど・・・。」名刺を受け取って見てみると

そこには<BOXMAN MUSIC:児山紀芳>と書いてありました。ん・・・児山さん?えっ・・・

「あの、もしかして、ジャズクラブの児山さんですか?」「そうだけど、よくご存知ですね。」

いやいやビックリ・・・。目を閉じて良く聞いてみれば、確かに「あの声」じゃありませんか!

今までも良くご利用いただいていたお客様なのに、気がつかなかった自分が悔しい・・・。

ひとりで悔しがる私に、ビックリしている児山さんでしたが、事情を話し、段ボールのテープを

見せると納得して下さって、おじいちゃんとお店のためにサインも書いて下さいました。

これは喜ぶぞ!・・・さてさて連絡を取ってみるか。ん・・・でも待てよ、ここ3~4ヶ月位の間

おじいちゃんの事を見ていないぞ・・・まさか口癖が本当に・・・。おそるおそる連絡してみると

あ~良かった。おじいちゃん元気そうじゃないですか!「児山さんのサインもらいましたよ。

体調の良い時に遊びに来て下さいね。でも、まだ寒いから無理はしないで下さいね。」

言った次の日に、おじいちゃんは自転車を疾走させて、10キロの道のりを飛んできました。

色紙を渡すと、まるで子供が宝物を手にしたように嬉しそうでした。「俺は長くないから・・・

良い冥土の土産が出来たよ。」相変わらずのおじいちゃんでしたが、これだけ元気なら

しばらく土産になることは無さそうです。 綾戸さんのコンサートも、とても楽しかったです!

魂の叫び、これぞ本物!心に届く素敵な歌声でした。人気も納得、うなずけます。

児山さんには、色々良くしていただいて・・・そう言えば、ニューヨークで手に入れたという

「寅さんバッグ?」も頂いてしまって、ありがとうございました。奥様も素敵な方なんです!

DJを務めているにしては、かなり恥ずかしがり屋の旦那さんを、上手にフォローしてらして

華やかな笑顔の中に、細やかな気配りを感じます。

会場でも、休憩の時間にわざわざご挨拶いただいて恐縮です。又誘って下さいね・・・。

来年も企画しているとの事なので、今度はおじいちゃんを誘って聴きに行きたいと思います。

「冥土の土産」は、まだまだ出来そうですよ。 持ちきれるかなぁ?・・・。

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