お正月は、焙煎機に隠された“秘密の口約束”に感謝する日?!
2012.01.11
=昨年の大震災以降、まだまだ落ち着かない日々が続きますが変わらぬ御愛顧に感謝しております!=
←マイク片手にお気楽なオッサンは、鈴木お正月の様子です。いやぁ~何十年ぶり
かの感じでカラオケに行って来ました。・・・と言うか、若い頃はカラオケを提供する
側のパブとかで働いておりましたから、お客さんになることは殆どありませんでした。
ただ当時は、勿論こんな立派なカラオケはなくて、下手すると8トラと呼ばれていた
大きなカセットを機械にガチャンと差し込んでやっていたものです。(知らないよね)
う~ん何だか懐かしいですね。。。とにもかくにも、お陰様でのんびりとしたお正月を
過ごさせて頂いてありがたかったです。でも毎年そうなのですが、元日は店に来て仕事をさせて貰いました。
只、今年のお正月ほど、仕事をさせて頂けることを嬉しく感じたことはありませんでした。↓これは当店にて
使用させて貰っている、手前が4㎏釜で、奥にあるのがですね
その倍焙煎できる8㎏釜(共に直火式)です。先日、指切りの
約束を守る・・・と言うお話をさせて貰ったのですが、僕はこの
豆屋にとっての、まさに“商売道具”である焙煎機を、口約束
だけで取り付けて貰った時のことがいまだに忘れられません。
それは、もう14,5年前の話しになりますが、付き合いのある
焙煎機を作ったり、修理したりする仕事をしている人から電話
が掛かってきました。「鈴木さん、良い焙煎機が出てきたよ。前に鈴木さんが欲しいって言っていたタイプの
直火式で4㎏迄焙煎できる奴だよ」そう言えば、当時僕が使っていた小さな焙煎機を修理に来て貰ったとき
「本当は、ちゃんとした焙煎機が欲しいのだけれど、今はお金もないし、万が一何とか貯めることが出来たら
そう言う焙煎機を付けることが夢なんだ。今は恥ずかしいけど、そう言う焙煎機付けてる店見ると、顔付けて
覗いて見ちゃうんだよねぇ・・・」そう言って、照れ笑いしたものです。昔、小さな子がお店のショーケースを覗く
そんな感じでしょうか。“憧れ”ですよね。一瞬天にも昇る気分になりましたが、ハッと我に返りました。「ダメ
だよ。僕まだ全然お金がないから無理だよ・・・」考えてみたら当たり前です。気落ちした私でしたが、その後
ビックリする言葉を聞きました。「あとで良いよ鈴木さん。稼いで貯まってからでも良いし、無理のない程度に
分けてくれても良いし、好きで良いよ。鈴木さん腕があるのに、今の機械じゃ発揮できないでしょう。これなら
もっとその腕が発揮できるよ」「え~・・・」ビックリした私でしたが、話しは進み、取り付けることになりました。
その焙煎機を扱う職人さんとは、話しが合ってたまに修理は頼んでいましたが、勿論、個人的な付き合いも
ありませんし、店以外、僕がどこの誰だかも知らない筈です。なので取り付けに来てくれた日に言いました。
「何か証明書のような物を一筆書くよ」そういう私にその人は笑って言いました。「何にもいらないよ。これで
鈴木さんが美味しいコーヒー豆を焙煎してくれればそれで良いよ。俺、鈴木さんのコーヒー好きなんだ・・・」
何度も一筆書くと言う私の願いを断り、その職人さんは帰りました。そんなこともあるのか。不思議な気持ち
でおりましたが、この後は、頑張って働かねばなりません。だって今のままでは返せるあてもないからです。
只、不思議な時には不思議なことが重なるものです。その焙煎機が付くのを待っていたかのように、大きな
仕事が次から次へと入って来ました。まるで“大きな焙煎機が付くのを待っていた”かのようでビックリした
記憶があります。全日空スカイショップの仕事があったり、テレビやラジオで紹介されたり、自分を取り巻く
環境が一変したのに付いていくのがやっとの程です。なので最初は無理かと思った代金も、数回に分けて
払いきることが出来ました。ホッとしたのと同時に、口約束だけで焙煎機を付けてくれたその職人さんには
感謝の気持ちでいっぱいです。毎年、お正月には店に行き、世話になった焙煎機を撫でる?事から始まる
鈴木の変な儀式もどきですが、焙煎機と、こんな変な店を愛してくれるお客様に感謝を込めて頑張ります。
今年が良い年となるように。そして、その先の未来も皆が“希望”を持って生きられるように、自分に出来る
事を精一杯頑張らせて頂きたいと思います。そんな鈴木の口約束は誰か信じてくれるのでしょうか?(笑)