焙煎の神髄(本編その4・本焼き)&おまけの愚痴⁈

『焙煎の神髄』
<本焼き>
前回、<蒸し焼き>の話から、随分と時間が経ってしまいスミマセンでした。
コロナウイルスの問題がありまして、当店も営業自粛するため、色々と試してはみたのですが、わずか数時間の営業時間であるにもかかわらず、毎日100人以上のお客様にご利用頂けておりましたので、やはり普通に営業していては『3密』の状態を作らないことは難しいと感じました。
ですので、売り上げは激減してしまうでしょうし、お客様からそっぽを向かれてしまう可能性もありますが、『こうなればやるしかない』・・・と、覚悟を決めて、最終的に、一日のご利用人数を制限するために、完全予約制の形を取らせて頂く為の準備に追われておりました。

只、4/9(木)からその形でお願い始めましたところ、単なるコーヒー豆屋が、完全予約制というあまりに使いにくい形を選択したにも関わらず、現在お電話での御予約は、お渡しまでに1週間以上お待たせしてしまうような、お客様にはスミマセンが、ある意味ありがたい状態となっております。皆様には、ご面倒、ご迷惑をお掛けしておりまして、大変申し訳ございません。
早くこの問題が終息して、また普通に営業できる日が来ることを心より願っております。今しばらくご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお願い致します。(全ての皆様に心より感謝しております!)

※ご予約は、お電話でしたら0120-456-501、メールでしたらinfo@suzukimasami.jp、また、ホームページ上の『お問い合わせページ』もご活用頂ければ幸いです。

・・・さて本題に移らせて頂きます。

前回までに、生豆に対して少し弱めの火で<温め>、そして、一度水分抜きの為にダンパー部分を全開にして1分程待ち、その後、0.1Kpa(1目盛り)程、火加減を強くしまして<蒸し焼き>状態に入る・・・と書かせて頂きました。
その<蒸し焼き>状態が十分に進みますと、<温め>の際に爪が入る程度柔らかくなった生豆が、今度は、次の<本焼き>で膨らむために、ある意味ギュッと縮こまる感じになります。

これは、例えば人間が大きくジャンプするときを想像してみて下さい。多分、しゃがみこんで体を縮めるのではないでしょうか?

コーヒーも同じと私は考えます。

そして、大きく膨らみ、コーヒーとしての味わいを表現するための必要な”旨味”を引き出すために、火力をほんの少し強くして(私は0.05Kpaだけ強めます)そして、今まで中に向けていた熱量を外からに切り替えるべく、空気を十分に送り込むためダンパーと呼ばれている排気を開きます。

この、内から外へ…の考え方がとても大事です。

<温め>ていたり、<蒸し焼き>している間は、内側に熱を送っている感覚ですが、<本焼き>の段階に入って、初めて外側からの熱で豆に”焼き”を入れている感覚です。

昔、焚火をしたりするときに、今なら、キャンプをした時などに、火を良く燃やすためには、空気が必要なので、ふうふう吹いたり、何かで扇いだりした経験はないでしょうか?
焙煎機には、通常、ダンパーと呼ばれる排気装置が付いているのですが、私の考えでは、排気する=釜の中に空気が入る…と考えます。

なので、<本焼き>として外から強い火で焙煎する時には、少しずつダンパーをあけていくのです。

<蒸し焼き>までがうまくいっていれば、分量によっても違いますが、大体、火を強くして大凡1~2分ぐらいで「パチパチ」と、いわゆる1ハゼの音がしてくるはずです。
私はこの音を聞く度に、コーヒー豆達が、『いいよ、美味しいコーヒーが生まれる準備が出来ているよ!』という、彼らの声を聴いているようで、とても嬉しくなります。(鈴木はコーヒー豆達と会話を交わす変わり者です)

その後は、釜の中の状態を出来るだけ同じ状態に保つことを考えて操作します。

1分ごとに火加減を少しずつ弱くして、急に温度が上がり過ぎないようにしますが、その際に、少しずつ空気を送り込む(排気する)為に、ダンパーも少しずつ開いて行きます。

その後、1~2分ほどで、今度はもう一回ハゼる音がしてきます。これがいわゆる2ハゼと言われる音です。
鈴木は、この2ハゼを”幸せの音”として捉えておりまして、『もう少しで僕ら美味しいコーヒーとして生まれるよ!』という、喜びの声を聴いている感覚です。

その後、どこまで行くのかは創り手の好み次第ですし、勿論決まりはありませんので、各自で考えて・・・で良いのですが、鈴木は、もちろん豆によって微妙には違いますが、大凡の豆は、この2ハゼと呼ばれる状態がピークに達したところで火を消して、その後は、余熱で10秒から20秒くらい焼き加減を整えてから、釜から出すようにしています。

鈴木の生み出すコーヒー達の出来上がりです。

酸っぱくなく、それでいて苦すぎず、香り良く、旨味、甘味、透明感を持つ、艶があって、ある意味色気のあるコーヒー創りを、鈴木としては目指しています。

出来上がった瞬間に、毎回、『うわぁ、最高!俺って天才!』と、自己陶酔しています。そして、このコーヒーを召し上がって頂けるお客様のことを考えて、嬉しくて嬉しくてたまりません。
・・・あまりに自信過剰でお恥ずかしいのですが、プロである以上、ある意味それで当たり前と思っております。

只、自己陶酔するほど感動した後、少し経つと又思います。『次は、更に美味しいコーヒーが焙煎できるんじゃないか?もっと美味しく出来る要素があるんじゃないか?』・・・と。

『30年以上焙煎をやって来て、100%掴んだと思っていたけど、まだ99%かも知れない。よし、次は100%の完成を目指すぞ!』・・・と、毎回思いますが、きっと、それは現役を引退するまで掴むことのできない、限りない、見果てぬ夢のようなものなのでしょうね。

分かってはおりますが、それでも生ある限り『見果てぬ夢』を追い続けさせて頂こうと思っておりますし、また、それこそが『焙煎の神髄』に近づく唯一の道だとも感じております。

<温め>、<蒸し焼き>、<本焼き>、鈴木の感覚で美味しいコーヒーを生み出す為の焙煎は、これである意味完成です。
只、もの創りを極めようとする方達は、もしかすると皆同じ感覚なのかも知れませんが、100%がありそうでない世界、到達できそうでたどり着けない世界、きっと、そんな世界に生きているのかも知れません。

見果てぬ夢を追い続ける覚悟をもって、世の中の為に、もの創りに没頭する事こそが、ある意味答えなのかもしれません。そんなとき、この『焙煎の神髄』コーナーが、一つの道しるべとなってもらえれば幸いです。

妙な鈴木の話にお付き合い頂いてありがとうございました。

あまりにとびとびの話になってしまった為、次回、出来れば総集編としまして繋げての話も載せられればと思っております。
またそれがいつになるかはわかりませんが、お楽しみに!

※番外編でちょっと愚痴をこぼさせてください。
・最近では、『お店の人にフルーティーで美味しい・・・と言われて買ってみたけど、只酸っぱいだけのコーヒーで飲めずに困っている・・・』と言うご相談を頂く事がとても多く、本当にそうなのかな?・・・と疑問を持った私は、古くからお付き合いがあるお客様達に、『最近有名だったり、新しく出来たお店に行くことがあったら、是非、豆を少し買って来てくださいよ』とお願いして、持ってきてもらったコーヒーを見て、そして飲んで見てビックリ!、ビックリ!、おったまげる程ビックリ‼、してしまいました。(ちょっとオーバーですね・苦笑)

もしこれらがコーヒーだったり、自家焙煎だと言うのなら、私のコーヒーはコーヒーじゃないし、自家焙煎でもない。もし弟子達がこんなコーヒーを作ったら、思わずひっぱたいてしまうかも知れない(もちろん絶対にダメですけどね・笑)位の衝撃でした。

その後も、色々な方達からご相談を受ける立場になっていたことも有り、各地で機会があれば他店のコーヒーを試してみましたが、一様に酸っぱいだけのものが多く、そして、どこもかしこも、その酸っぱいだけのコーヒーを『フルーティーです!』と言っておりましたが、フルーティーって、甘くて美味しいフルーツに使う言葉ではなかったでしょうか?

もし、間違えて酸っぱいだけのフルーツを食べてしまったとき、私なら思わずこう言います。『わっ、酸っぱ、まず…』とね。

フルーティーを目指すのも良いでしょう。でも目指すなら、本当に甘くて、美味しいフルーツのようなフルーティーさを目指してほしいと鈴木は思っています。・・・年取ると愚痴っぽいね。大変失礼しました。(苦笑Ⅱ)

※あくまで個人の感想&愚痴です。