焙煎職人のこだわり

コーヒーの味わいにつきまして、一般的には、生豆の品質、焙煎の仕方、鮮度等が重要であると良く言われております。

勿論、それらはとても大事なことであると認識しておりますが、私自身は、コーヒーを飲んで頂く方々へ対する思い、そして何より、焙煎人の『心と技』こそが一番重要であると考えております。

なぜなら、良質な生豆を集めるのも、美味しく楽しんで頂きたいと願う
『焙煎人の心』あってこそですし、焙煎の仕方につきましても、今では主流になっている「熱風式・半熱風式」を始め、オートマチックで仕上げてくれるタイプの物や、レンジでチン?ではありませんが、タイマーでセットするだけでOKの物等
焙煎人の腕を必要としない機械が、多く出回っている時代ですが、当店で採用しておりますのは、あえて一番古いスタイルの『直火式焙煎』です。

品質、鮮度はもちろん大事ですし、それらを売りにした方が、商売としましてはやり易いのかも知れません。
只、当店では、それらは美味しいコーヒーを提供する際、ごく当たり前のことと認識しております。そして、何より大事なのは『焙煎人の腕』である…と、声高らかに宣言したいと思います。

酸っぱい、苦い、で表現されることの多いコーヒーですが、私の目指す味わいは、香り高く、旨味あふれ、澄み切った透明感を持ち、更に、奥にはほのかな甘みさえ感じられる、絶妙なバランスの味わいです。
それらを表現するために、あえて直火式焙煎機により、生豆達の声に耳を傾け、一秒の前か後かにこだわり、生き生きとしたコーヒー達に仕上げ、胸を張って、皆様のもとにお届けしたいと願っております。

一般的に、直火式焙煎は、少量ずつしか焙煎できませんので、商売的にも効率が悪いと言われております。

更には、微妙な火加減の難しさがありますので、野球で言えば、金属バットではなく、木のバットでヒットやホームランを打つ位難しい…と言われたりもするようです。

只、私達はプロです。プロの仕事は難しくて当たり前と考えております。
また、商売的にも、確かに楽して儲けるのは難しいのかもしれませんし、それも身に沁みてわかっております。

それでも、自分自身が『感動できる味わいのコーヒー』を皆様に提供したい・・・と願っておりますし、毎日、その思いだけで、焙煎に勤しませて頂いております。

明日の喜びとなるコーヒー、また出会いたくなるコーヒー、出会えて良かったと思えるようなコーヒー・・・そんな事を、一瞬でも感じて頂ければ、創り手に取りまして、この上ない幸せなことです。

長い話に、最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。

全てのこだわりは、美味しいと感じて頂ける一瞬の為に!
焙煎職人:鈴木正美