「船井総研・勉強会・集中研修」原案<商品力について・・・>
2000年5月~10月まで(全五回)「船井総合研究所」からの依頼で、勉強会・講師を担当しました。
また、2000年11月21日、東京五反田にて「商品力」をテーマに1時間半の講演もさせて頂きました。
全て“鈴木正美”特有の精神論ですが、簡単にまとめてみました。よろしかったらご覧になってみて下さい。
珈琲は単なる食品の一つでなく“感動”で心を満たす「エンターテイメント」という気持で
私自身は常におります。想いをご理解いただくと、わかりやすいかも知れません。
※こんな古い話ですが、同業の方はじめ、また最近見て頂く事も有るようです。(万が一お役に立てれば幸いです)
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☆商品力アップ「9つのポイント」
The Coffee Club M’s Company 鈴木正美
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1)フランケンシュタインにはなりたくない?!(本物は造れない!)
商品力=人間力とよく言われるようになりました。
あの店員さんだから買いたい、あの人だから契約する、物や対象は違っても
そんな言葉を良く耳にします。
では、人間力とはそれだけの物なのでしょうか?
私はそうは思いません。それだけが商品の力で有れば、悪く言えば人任せなだけです。
人間力=人間の力・・・そう考えたとき見えてきた物がありました。
それは、人間とは本物であると言うこと。
「そんなこと、当たり前だろう。」そうおっしゃるでしょう・・・。
そう当たり前のことです。では、本物とは?と言う事になります。
最近では、「本物の時代」と言う言葉も良く聞かれます。
少し考えてみて下さい。人間とはどうやって造られるのでしょうか?
いえいえ、人間は造れません。お母さんのお腹の中から“生まれて”くるのです!
もし人間を造ったらどうなるでしょう?それは、残念ながら“フランケンシュタイン” 化け物・・・です。
もう、お分かりでしょう。商品力とは、人の中から生まれてきた「本物の力」
それこそ本当の人間力=商品力なのです!
商品力=人間力=本物の力=生まれ出る力
今一度、ご自身の商品について考えてみて下さい。そこから何かが始まるはずです。
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2)今が良ければ、それでよい?!(情熱=100%×継続)
では、本物の力を付けるにはどうしたらよいでしょうか?
今回の勉強会のように、人の話を聞き、どうやって商品力を高めて行くか・・・
と言うようなことを学んで行くことも大事でしょう。
但し、ここで気をつけなければいけないことは、単に手法を真似るだけでは
決して“本物”ではないと言う事。
学んだことを良く理解、消化して、自分自身の養分と換え、自分自身の力として
中から発揮しなければ、偽物、フランケンシュタインになってしまいます。
付け刃はもろいのです。熱くなって叩き出した刀だけが、本当の力を発揮できるのです。
では、仕事に熱くなる・・・熱中するにはどうしたらよいのでしょうか?
そう、やはり“情熱”が必要でしょう。
情熱を傾ける・・・というような言葉も良く聞かれます。
では、情熱とはなんぞや?・・・と言う事になります。
人によって考え方は様々でしょうけれども、私が経験から考える情熱とは
「100%×継続」だと思っています。
今、自分自身の出来ることを精一杯やる、と言う事が100%ではないでしょうか?
あれもやりたい、これもしたいと意欲を持つ事はとてもよいのですが
結局何も出来ずに、落ち込んでいる方をよく見かけます。
出来ないことをする必要はないのです。
いきなり2メートルも3メートルも飛ぶことは出来ません。
今1メートルしか飛べなければ、精一杯飛び続ければよいのです。
精一杯の力を出し続ける(継続する)とき、それは情熱となり、本物の力となります。
100%×継続=120%になるのではないでしょうか。
それこそ情熱=本物の力にこそなせる技=人間力以外の何物でもないでしょう。
今出来ることを精一杯やり続ける。そんな簡単なことで、人間力が高まるのです。
これを行わない手はない・・・そうは思われませんか?
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3)キレイなお姉さんは好きですか?!(鈴木流・商品三段活用)
「キレイなお姉さんは好きですか?!」この問いに、思わずうなずく方も多いはず。
では、この問いかけとコーヒーの世界にどんなつながりが有るのでしょうか?
ここで、コーヒー豆を販売するにあたって一番必要なことを考えてみます。
勿論、売場力、集客力、固定客化力等も大事でしょうが、一番はやはりこれ・・・
「只旨いコーヒーがそこに有ればよい」と言う事。
「そんなことは分かっている。それがあったら苦労しない。」とか・・・
「そんな物は最初から有る。だけどヒットしないんだ!」等々ご意見はあるでしょう。
嗜好品の代表でもあるコーヒーは、そこが一番難しいと言われています。
でも、基本的に皆さん「決め球」になるコーヒーをすでにお持ちなはずです。
もし、まだお持ちでないとしたら、残念ながらプロとしては勝負できない段階です。
まずは、味作りから始めましょう・・・。
さて、その店(会社)として押せる、代表的なコーヒーをお持ちの方は次の段階です。
その代表的なコーヒーまで、お客様がたどり着けるように“入り口”を作ります。
多ければ多い程良いでしょう。たくさんの方にご利用いただけるはずです。
その為には、入りやすい入り口であるべきではないでしょうか?
誰もが好む、惹かれる、思わず入ってしまう・・・そんな入り口。
味や内容が伴うことも大事ですが、それより大事なのは「美味しそう!」と言う事。
これが第一段階。そして入り口から入って下さったお客様に、次に勧めるのが
あなたの決め球となるコーヒーです。この段階では、お客様はあなたのコーヒーに
興味は持って下さっています。只、見せかけでなく本当の美味しさを求め始めています。
ここで決め球を披露しましょう。見せかけは必要有りません。味だけの勝負です。
これが第二段階。そして、味に心を動かして頂いたら最終段階へ進みます。
さあ、あなたの出番です!
「この素晴らしいコーヒーは、素晴らしいポリシーがあるからこそ生まれたのですね。」
お客様にそう感じていただけたら、もうあなたの勝ち。出口はただ一つ、「信者客」
と書かれた出口しか見あたらないのではないでしょうか・・・。
◎まずは入り口が大事。
四の五の言う前に、今売れるコーヒー(キレイなお姉さん)を全面に出す。
◎次は一番商品。
見せかけは関係有りません。その店のナンバーワンが行きましょう!
◎最後はあなたの理念。
あなたのその発想こそが、こんなすばらしい物を生み出すと理解させる。
この三段活用を理解していただければ、「これと言う商品が存在しない」と言われる
コーヒーの業界に置いても、成功を収めることが可能だと考えます。
「キレイなお姉さん」→「ナンバーワン」→「理念」・・・この順番で行きましょう!
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4)コーヒーは食品じゃない?!(エンターテイメント性)
コーヒーは食品です。それは間違い有りません。しかし、商品作りするときは
その発想を捨てるべきです。コーヒーは食品ではありません!
飲まなくても困らない(困る人もいるでしょうが)嗜好の世界の代表であり
飲まなくても生きられる、どちらかというと、映画や舞台を見に行くような
趣味の世界に近いと考えてみて下さい。
生きるために、絶対必要な枠の中から選んでいただくのではなく、その気がある人が
わざわざ出向く、そこに、日常とは違う何かを求めて引き寄せられる・・・
そんな物ではないでしょうか?
だとしたら、「ただ安い」では問題外です。面白くない映画は、100円でも高い。
舞台を見に行くとしても、ただ題材だけで出向くのでは決してない。
その人が演じる、その舞台だから“わざわざ”出向くのである。
同じせりふでも、演じる人が違えば違って感じる事が良くあります。
コーヒーもそうではないでしょうか?同じコーヒーなど、この世に存在しないのです。
あなたの理念から生まれたコーヒーは、あなただけの物です。そして、それこそ
あなたのエンターテイメント性なのです!
コーヒーは食品、と言う概念を捨てましょう!捨てる事で新たな物をつかめるのです。
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5)特別な日でもうけない?!(日常の強化)
皆さんは、販促の為に何をしていらっしゃるでしょうか?
セールは勿論、年に何回もイベントを開かれているのではないでしょうか?
勿論、それは素晴らしいこと、大事なことです。
ところが、いけないのは“その時”に儲けばかり考えすぎ・・・と言う事です。
「そこで儲けなくて、いつ儲けるんだ!」とおっしゃるでしょう。
でも、少し考えてみて下さい。セールを毎月3日間ずつしたとしても、年間36日
他のイベントを含めても精々50~60日でしょう。残りは250~300日も
有るんです。だとしたら、セールやイベントでいくら儲けても、他の日が弱ければ
何にもならない・・・と言う事なんです。
考え方を変えてみませんか?セールやイベントで儲けすぎないようにすること。
利益を上げるな!と言う事ではないんです。セールはあくまで「入り口」として
「利益追求」ではなく、お客様の「喜び追求」の日にしましょう!
利益を上げるのは、いっぱいある“通常の日”で充分なはずですし、通常が弱ければ
いくらセールを繰り返しても、無駄なこと・・・なのです。
強化すべきは日常にあり!・・・です。
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6)卵が先か、ニワトリが先か?!(鈴木流・判断力)
「卵が先か、ニワトリが先か・・・」この言葉は、どちらが先か分からないときに
使われる言葉です。しかし、売れる商品を生み出すときには、先に理解しておくべき
言葉でもあります。「お客様の利益のために・・・」「お客様の喜びのために・・・」
などという言葉をよく使いますが、どうですか?分かりますか?例えば、もし私が
そんな言葉を上司に言われたとしても、全然“納得”行かないと思います。
「きれい事はいりません。私はとにかく“今”売上がほしいんです!」そんな方も
きっと多いはずです。「そんな時どうしたら良いんですか?」すがるような目で
訴えられたときも有りました。そんな時、実は私もこう言います。
「お客様のために商品を作りなさい。お客様が喜ぶ商品です。」・・・と
それでは、納得行かないのでは?と言われるでしょう。はい、それだけの言葉では
納得行きません。こう付け加えます。「商品が売れないで、あなたは喜べますか?
売上が上がらないで、喜べますか?もしそうでないとしたら、お客様が、商品を買って
喜んでいただけなくては、あなたは喜べないはず。だから、相手の喜びが先なんです。
自分の喜びが先に来ることは、永遠にありません。紙一重ですが、相手が先です。」
相手の喜びによって、自分が喜ぶことが出来る商品。売れる商品は喜びの商品です!
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7)一対一でケリをつける?!(一期一会)
忙しいお店(会社)では、たくさんのお客様がご利用になります。
一人一人は構っていられないと言います。一人の販売員が、相手をするお客様が
一日100人とします。1対100と言う計算をしてしまいがちですが、実際は
1対1×100です。こちらが何人相手にしようと、お客様からすれば、その時だけ
が全てなんです。一日・・・ではなく、今の積み重ねが一日、と言うのと一緒です。
一人のお客様を大事に出来なければ、どんなに汗水垂らして働いても、全て無駄
穴のあいたバケツで、一生懸命水をくむような物です。商品作りも似ています。
一人に満足を与えられないコーヒーは、多くの人にも納得しては頂けません。
漠然と多くの方に受け入れられるような商品作りでなく「あの人の為にこんな味」を
積み重ねてみて下さい。そんな中から、ヒット商品は生まれるはずです。
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8)三本ラインはもういらない?!(鈴木流・平常心会得法)
さて、さて、何のことでしょうか?
実は、渋さの代表・・・「眉間のしわ」のことです。
映画俳優ならいざしれず、私達が眉間にしわを寄せて良いことはありません。
「いや」「だめ」「問題有り」「嫌い」そんな時に出来るのが、眉間のしわではない
でしょうか?残念ながら近寄りがたいですよね。だったら、逆はどうでしょう?
「良い」「OK」「問題なし」「好き」そんな時“それ”は出来ませんよね。
でしたら、その心がけで商売しましょう!商品作りしましょう!うまく行きます。
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9)夢は真っ赤なポルシェ…では情けない?!(本当の夢・希望)
どういう訳か、自営業者はポルシェが好きなようです。
色々な方に「夢」をたずねると、そうおっしゃる方が多いです。
残念ながら、それは夢では有りません。あなたの「欲」です。
ポルシェを買うのが悪いわけではありません。只、お客様はあなたの夢を叶えるため
投資して下さっているんです。そのあなたが、物を買うのが夢では何とも情けない。
お客様は、あなたの“欲に募金”していることになります。
そんな気持ちで、ヒット商品は生まれるのでしょうか?
騙しの時代は終わりを告げました。本物の時代がもう始まっているんです!
欲ではなく、本当の夢・希望を語って下さい。お客様は喜んで投資するでしょう!
売れる商品も“そこ”から生まれてくるはずです・・・。
(9つのポイント終わり)
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プラスα:又も今度もやっては来ない。その気があるなら今しかない!
これは、私が自分自身にいつも言い聞かせている言葉です。
何かやろうと思ったとき、今は忙しいから後で・・・とか言う人をよく見かけます。
「今度やります。」「又この次で・・・」等々。言い訳は一杯有るでしょうけれども
そんな方達の、“今度”も“又”も見たことはありません。
やる気のある方、情熱のある方は、必ずすぐに動きます。
もしすぐに動けないなら、動けないまでもすぐに予定を立てます。
そんな方は、情熱があるのです。だからうまく行きます。全てが好転するのです。
そして、それが自信となり又うまく行くのです。珈琲の世界でも同じです。
自分自身が信じられるまで努力したなら、何も怖いことはありません!
100%を継続する事が情熱であり、そして、それによって人間力=商品力が
高まって行くのですから、必ず何かしらが好転して行くのではないでしょうか。
もし、それが信じられないようでしたら、残念ながら、まだ努力が足りないのでは?
と言う事になります。自分自身が信じられないのですから、自信がないのです。
そんな自信のない商品を、一体誰が支持するでしょうか?
商品力は、自信に裏付けされるべき!とも考えられませんか・・・。
プラスα-2:商品力アップの為に出来ること 「もう一つのまにあ」
(感動こそ、人の心を動かし商品力を最大の物にする!)
人が商品を手にしたとき、そのすばらしさだけに感動するわけでは決してありません。
それが生まれるまでの、人間の情熱を想像し、感じ、心が動き、感動するのです。
で有るからこそ、ただ一つを持って商品力とは言えないでしょう。
珈琲豆の業界とすれば、その品揃え、ネーミング、販売スタイル、交わす言葉、接客力
思い入れ、そして技術は勿論、やはり最後は理念。そんな一つ一つの積み重ねこそが
人間力となり、商品力となるはずです。あきらめなければ、必ず見えてくるはずです。
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いつも言って笑われているのですが、私はもう一つの「コーヒーま・に・あ」です。
「ま」・・・負けない。「に」・・・逃げない。「あ」・・・あきらめない。
こんな気持でコーヒー豆と付き合っています。やっぱり、笑われてしまったでしょうか?・・・。
(おまけ終わり)