「我孫子人物事典」にて記事掲載!
◎豆と語らい、たった一杯のコーヒーに限りない情熱を注ぐ。感動の味を紡ぎだす焙煎職人
2002年5月、我孫子人物事典において、ご紹介いただきました。とっても素敵に載せていただいて、本当に、ありがたいことです。記事に恥じない人間になれるよう、努力を続けたいと思いました。下記に、記事も一部抜粋しましたので、ご覧下さいませ。
「焙煎職人の道へ導いたのは、一杯の運命のコーヒー」
昔から”喫茶店”が好きで、10代後半に喫茶店で働いていた鈴木さんは24歳でついにはマスターに。しかしその当時の鈴木さんの店のメニューには、大手メーカーの珈琲豆をドリップして淹れたコーヒーが、当たり前のように並んでいました。そんな彼が、なぜ自家焙煎珈琲豆に情熱を傾け、焙煎職人という、商売として成り立ちにくい道を自ら歩み始めたのでしょうか。
「それは一杯のコーヒーです。家内がもらってきた、たった10gほどの自家焙煎の珈琲豆と出会った時の衝撃は今でも忘れられません。今まで飲んできたコーヒーとは明らかに違うもの。ふとしたきっかけで飲んだ一杯のコーヒーがもたらした感動でした。コーヒーは飲んでしまえば一瞬で消えてしまうものです。だけど、記憶に残る『感動』を生むことはできる。コーヒーを飲む時間はほんの一時だけど、そんな毎日の生活の中で小さな感動を届けたい。おいしいと喜ばれるコーヒーをつくりたい。それがきっかけでした。不思議なものですよね」
珈琲豆も生鮮食品だという鈴木さんは、一番よい収穫期の新鮮な珈琲豆を世界中の産地から仕入れ、常時50種類ほどお店に置いています。また、現在では電気を利用した熱風焙煎という方法がほとんどですが、鈴木さんは直火焼焙煎にあくまでこだわり、100年位前から同じ構造だと言うロースターを使用。石臼で挽いたコーヒーの繊細な味わいに驚き、ついにはコーヒーが挽ける専用の石臼を特注で作ってしまうほどのこだわりようです。
「手賀沼の自然の中で深まるコーヒーへのインスピレーション」
奥様がもたらした運命の一杯から18年。手賀沼沿いに越してきて4年目を迎えます。「以前はもう少し賑やかな街でお店を営んでいましたが、ビルの無機質な空気の中で珈琲豆と語り合うよりも、自然が豊かな環境のほうが感性が豊かになると思い、越してきました。手賀沼をゆっくりと散歩しながら、欲を忘れて原点に戻ると、ふとインスピレーションが沸いてくるんです。特に夕日時の手賀沼は本当に綺麗ですよ」
そんな自然の恩恵を受けた暮らしの中で『夕映え』という名前の珈琲豆も誕生しました。なるほど鈴木氏の創る自家焙煎珈琲豆の名前は実に詩的。『幸せなる時に・・・』『綺麗』『雨奏曲』・・・・・・。
このような素敵な名前をつけるのは、特にコーヒーに詳しくない人でも、味のイメージを浮かびやすくし、何よりも選ぶのを楽しんでもらうためだそう。
「本当にいいものだと納得してからお客様に手渡す。単純においしいって喜んでもらえたらそれでいいんですよ。こんな小さな店ですけどね」と笑う鈴木さんですが、街の人のくつろぎの食卓に、一杯の感動を届けていることでしょう。