想い出

あまりにもたくさん有りすぎる想い出の中から、一つあげるとすれば

やっぱりこれが思い出されます。 キーワードは<9千円>です。

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10代の頃から喫茶業に身を置いていた私は、24~25才になるところでしたでしょうかmaenomise-1

ひょんなきっかけで、喫茶店らしきものを始めるようになりました。

それほど立派とは言えないまでも、20代の若者が始めるには

充分な店だったと思います。

今でこそ珍しくはありませんが、当時としてはまだ少なかった3階建て住居の1階部分

大家さんの奥様が、画廊をかねた喫茶室として2~3年営業していたところでした

都合でやめた後は、倉庫になっていたようですが、大家さんがとても良い方で

当時、まだ半分は学生、半分はプータロー(良く言えばフリーター?)の私に

快く貸して下さいました。 広さは約9坪、家賃は格安7万5千円でした。maenomise-3

当時とても厳しい店で修行していた私は、今思えば生意気ですが

腕なら誰にも負けない?自信もあり、喜び勇んで用意を始めました。

ところがここで大問題発生?と言うか、当たり前のことなのですが資金が足りません!

お店を始めるからには、いくら最低限でも揃えなければいけないものが沢山あります。

昼は喫茶店、夜はパブで働いていた私ですが、当時の貯金はせいぜい20万円程度

これで店を始めようと言うのが間違いなのですが、それに気がつかないのが「若さ?」

どうにかなると思っていたようです。

家を飛び出していた手前、親に泣きつくわけにも行かず、とにかく必要最低限で開店まで

こぎ着けようと思い、何とか「その日」、開店当日を迎えることが出来ました。

その日の朝、ポケットの中には9千円と小銭が少々。一番最初のお客様が

1万円だったらどうしよう・・・。訳のわからない心配を真剣にしたのを覚えています

それより問題は、その日の売り上げでしょう。もし売り上げがなければ、

次の日の買い物が出来ず、1日で閉店になってしまいます。何とも情けない話ですが

これが、私のスタートでした。 お陰様で、次の日開けられる程度の売り上げもあり

今に至っています。 キーワードは<9千円>もうあのドキドキは経験したくないけれど

あの日のわずかな売り上げに、心から感謝した気持ちだけは忘れないように・・・

今でも、毎朝思い出すようにしています。